個人再生のスケジュールとかかる期間を、個人再生委員が選任の有無に分けて解説!

個人再生のスケジュール

「借金がかさんで支払いができない…。
このままだと、借入先から裁判されてしまうかも?」

そんな不安を抱えておられる方は、個人再生をすると、問題を解決できる可能性があります。

ただ、個人再生は、一般にあまりなじみのない債務整理方法です。
具体的に、どのようにして手続きが進んでいくのか、個人再生のスケジュールを知りたいという方も多いでしょう。

また、「長い期間がかかるのでは?」と心配されている方もいるかもしれません。
そこで今回は、個人再生のスケジュールとかかる期間について、解説します。

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1.個人再生は弁護士に相談するところから始まる

個人再生をするとき、まずは何から始めるべきなのでしょうか?

個人再生は、債務者が自分一人で進めるのが難しい手続きです。
個人再生は、非常に専門的で複雑な手続きですし、守らなければならないルールも多いからです。

自分で手続を進めると、失敗してしまうリスクも高くなります。
そこで、個人再生をするときには、まずは弁護士に相談に行くべきです。

債務整理をたくさん取り扱っている弁護士や司法書士の事務所で相談を受けましょう。

2.個人再生のスケジュール

個人再生を弁護士や司法書士に依頼すると、具体的にどのような流れでスケジュールが進んでいくのか、以下でざっと流れを確認します。

なお、これは個人再生委員が選任される東京地方裁判所のモデルケースです。

  1. 債権調査と書類集め
  2. 申立(依頼後1ヶ月)
  3. 個人再生委員との面談
  4. 第1回目の予納金支払い
  5. 個人再生手続き開始決定(申立後1ヶ月)
  6. 債権調査
  7. 異議申述
  8. 評価申立
  9. 債権確定(申立後3ヶ月)
  10. 再生計画案の作成・提出(申立後4ヶ月)
  11. 書面決議
  12. 再生計画の認可(申立後6ヶ月)
  13. 再生計画の確定(申立後7ヶ月)
  14. 支払い開始(申立後8ヶ月)以下で、それぞれの手続きについて、詳しく説明をします。

2-1.債権調査と書類集め

弁護士や司法書士に個人再生を依頼すると、弁護士は債権者に「受任通知」を送ります。

すると、債権者からの支払い督促がとまります。
また、借金の返済も一時的にストップします。

そして、弁護士や司法書士は、債権者に対し、債権調査を行い、債権の届け出をしてもらいます。
その間、債務者(依頼者)は、個人再生の申立に必要な資料集めをします。

個人再生では非常にたくさんの必要書類があり、書類が揃わないと申立をすることができないので、確実に集めましょう。

2-2.申立(依頼後1ヶ月)

債権調査が済み、必要書類の収集が終わったら、個人再生の申立を行います。

弁護士や司法書士に依頼している場合には、専門家が申立手続をしてくれるので、債務者は何もする必要がありません。
自分で申立をするなら、書類をそろえて裁判所に持っていき、手数料を添えて提出しなければなりません。

弁護士に依頼してから申し立てまでの期間は1ヶ月程度ですが、債務者が書類をなかなか集められない場合には、3ヶ月やそれ以上に延びてしまうこともあります。

2-3.個人再生委員との面談

個人再生委員が選任される場合には、申立後に選任される個人再生委員と面談を行います。

個人再生委員は、裁判所の管内の弁護士が選任されるので、面談を行うときには、個人再生委員の事務所に行きます。
このとき、申立を依頼した弁護士や司法書士にも一緒に来てもらうことができます。

個人再生委員との面談では、これまで借金が増えてきた経緯や現在の生活状況、今後返済できる金額などについて聞かれます。
特に怒られることなどはないので、普段通りに普通に受け答えをしましょう。

東京地方裁判所では、すべての個人再生の案件において、個人再生委員が選任される運用となっています。
個人再生委員が選任されない場合には、このステップはありません。

2-4.第1回目の予納金支払い

個人再生委員との面談を終えると、個人再生委員から、毎月の積立金を行うように指示されます。

積立金の支払いは、個人再生委員の口座に入金する方法で行います。
口座番号は、個人再生委員から通知されます。

そこで、早めに1回目の入金を行います。
1回目の入金をしないと、個人再生の手続きを開始してもらうこともできません。
なお、個人再生委員が選任されない裁判所では、このステップもありません。

2-5.個人再生手続き開始決定(申立後1ヶ月)

個人再生委員に対する第1回目の予納金支払いが確認できたら、個人再生手続き開始決定をしてもらうことができます。

だいたい、申立後1ヶ月くらいが経過した時点です。
個人再生委員が選任されない場合には、個人再生を申し立ててから数日~2週間程度で開始決定が下ります。

2-6.債権調査と届出

個人再生手続き開始決定があると、裁判所から債権調査が行われます。
債権調査を受けて、各債権者が債権届出を行います。

2-7.異議申述

債権者からの債権届出があると、申立人側(弁護士や司法書士)が届出内容をチェックします。

そして、間違っていたら、異議申述書を提出します。
特に間違いがなければ、何もしません。
この場合には、その内容で債権が確定します。

2-8.評価申立

申立人側から異議が出た場合には、債権者側が対応を検討します。

異議内容に納得する場合には何もしませんが、納得しない場合には「評価申立」をすることができます。
評価申立があると、裁判所が債権額を決定します。

2-9.債権確定(申立後4ヶ月)

以上のように、債権調査と届出、異議申し立てや評価申立の手続きを経て、債権額が確定します。このとき、だいたい申立後3~4ヶ月程度です。

2-10.再生計画案の作成・提出(申立後5ヶ月)

債権額が確定したら、裁判所から再生計画案の提出期限を指示されます。

そこで、債務者は、必ず期限までに再生計画案を作成して、提出しなければなりません。
期限までに提出できなければ、個人再生の手続きが廃止されてしまうおそれがあります。

弁護士や司法書士に手続きを依頼している場合には、債務者が何もしなくても、再生計画案を作成して提出してくれます。
再生計画案の提出が行われるのは、だいたい申立後5ヶ月程度が経過した頃です。

提出後、不備があったら裁判所から訂正を求められるので、訂正したものを再提出します。

2-11.書面決議

再生計画案の提出が済んだら、裁判所が債権者に対し、書面決議を行います。

書面決議とは、再生計画案の内容について、債権者の意見を聞くことです。
小規模個人再生では、過半数の債権者が反対すると、再生計画が認可されずに個人再生が失敗してしまいます。

債権者への意見聴取は、書面によって行われることが多いので、書面決議と言うのです。
書面決議が行われるのは、小規模個人再生のケースのみです。

給与所得者等再生の場合には、債権者が再生計画に反対する権限がないので、書面決議は行われません。

2-12.再生計画の認可(申立後6ヶ月)

書面決議により、過半数の債権者による反対がなかったら、再生計画が認可されます。
これが、申立後だいたい6ヶ月程度経過したときです。

2-13.再生計画の確定(申立後7ヶ月)

再生計画の認可決定があると、翌月頃に再生計画が確定します。

2-14.支払い開始(申立後8ヶ月)

再生計画の認可決定が確定したら、その翌月から支払いが開始されます。

そこで、個人再生をする場合、申立から約8ヶ月後に個人再生の支払いを開始することになります。
第一回の支払いは、3ヶ月分まとめての支払いになることが普通です。

たとえば、月々3万円返済していくケースなら、第一回には9万円の支払いが必要になるということです。
個人再生では、3ヶ月に1回の支払いになるからです。

いきなり支払いができないと非常に困るので、個人再生手続き中から、3ヶ月分の支払いができるように、準備をしておきましょう。

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3.個人再生委員が選任されない場合のスケジュール

東京地方裁判所以外の裁判所では、個人再生委員が選任されないことが多いです。

その場合、スケジュールと期間が多少異なってきます。
ただ、個人再生委員に関連する部分がなくなるだけで、基本的な流れは同じです。
手続き開始までの期間が短くなるため、多少、全体としての期間も短くなります。

  1. 債権調査と書類集め
  2. 申立(依頼後1ヶ月)
  3. 個人再生手続き開始決定
  4. 積立金開始
  5. 債権調査
  6. 異議申述
  7. 評価申立
  8. 債権確定(申立後2ヶ月)
  9. 再生計画案の作成・提出(申立後3ヶ月)
  10. 書面決議
  11. 再生計画の認可(申立後4ヶ月)
  12. 再生計画の確定(申立後5ヶ月)
  13. 支払い開始(申立後6ヶ月)

3-1.個人再生委員が選任されるケースとの違い

個人再生委員が選任されない場合、個人再生委員が選任されるケースと比べて、どこが違うのかを確認します。

個人再生手続き開始決定まで

まずは、個人再生手続き開始決定までのスケジュールと期間が大きく異なります。

個人再生委員が選任される場合には、申立後、個人再生委員との面談を行い、予納金の支払いを行います。
これに対し、個人再生委員が選任されない場合には、個人再生委員との面談はありませんし、第一回の予納金支払いも不要です。

そこで、申立後、書類に特に不備がなければすぐに個人再生手続き開始決定が下ります。
手続き開始決定が下りるまでの期間は、早ければ数日、遅くとも2週間程度となります。

積立金の開始と継続

個人再生委員が選任されないパターンでは、個人再生委員に対する予納金は不要ですが、裁判所から「積立金」を継続するように指示されることが多いです。

積立金というのは、債務者が自主的に毎月一定額のお金を積み立てることです。
個人再生手続き開始決定が出ると、裁判所から積立金専用口座を作り、そこに毎月入金するように言われます。

そこで、債務者は、自分の名義の口座を開設し、毎月そこに一定額を入金していきます。
積立金は、再生計画が認可されるまでの間、継続する必要があります。

再生計画認可や支払い開始までの期間

個人再生委員が選任されない場合、個人再生手続き開始決定までの期間が短くなるので、その分再生計画の認可や支払い開始までの期間が短くなります。

再生計画開始までには、だいたい4ヶ月程度ですし、支払い開始まではだいたい6ヶ月です。

積立金を債権者への支払に充てられるかどうか

個人再生を行うとき、再生計画の認可が確定すると、第1回目の支払いが始まります。

このとき、個人再生委員が選任されるケースでもされないケースでも、当初に3ヶ月分のまとまった支払いが必要になることは同じです。
ただ、このとき、これまで積み立ててきた積立金(予納金)を債権者への支払に充てられるかどうかは、異なります。

個人再生委員が選任される場合には、個人再生委員に支払った予納金は基本的に個人再生委員の報酬になってしまうので、全額が債務者の手元に戻ってくるわけではありません。
第1回目の支払いに備えて、不足分を自分で用意する必要があります。

これに対し、個人再生委員が選任されない裁判所では、手続き中に積み立てた積立金は全額債務者のものとなります。
そこで、第1回目の支払い時、積立金から支払うことができます。

この意味で、個人再生委員が選任されない裁判所の方が、第1回目の支払いには対応しやすいと言えるでしょう。

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4.個人再生が長くなるケース

以上が、全国の裁判所における個人再生のスケジュールと流れです。

ただ、実際に個人再生にかかる期間は、ケースによって異なります。
個人再生が長くなるのは、どのようなケースなのでしょうか?

4-1.債務者が書類を集めない場合

まずは、申立前に債務者がなかなか書類を集められないケースです。

実は、個人再生が長びく最も大きい原因は、このことです。
個人再生を申し立てるためには、申立に必要な書類をすべて集めきる必要があります。

個人再生の必要書類の中には、債務者の住民票や給与明細書、源泉徴収票や預貯金通帳など、債務者自身が集めないといけないものが多いです。
そこで、債務者が書類を集めないと、申立ができないままどんどん日にちが経ってしまいます。

あまりに債務者の書類集めが遅くなると、債権者が「いつになったら申立をするのか?」と弁護士などに問合せをするようになります。
すると、弁護士なども、言い訳ができなくなり、辞任してしまう例などもあります。

4-2.債務者が弁護士や司法書士からの質問に対応しない場合

個人再生で手続きが長びくケースの2つ目としては、債務者が弁護士や司法書士による指示にきちんと対応しない場合が挙げられます。

個人再生をするときには、弁護士や司法書士に基本的な書類作成や手続きの進行を任せます。
そこで、手続きの各段階において、弁護士や司法書士から連絡を受けて、「このような書類を揃えてほしい」「このあたりの事情を教えてほしい」などと言われます。

しかし、債務者の中には、弁護士や司法書士に任せて債権者からの督促が止まったことで安心してしまい、専門家からの質問や連絡に対応しなくなる人がいます。
このようなことをしていると、弁護士等は必要な書類を集めることなどができなくなり、手続きを進められなくなります。
結果的に、個人再生が長びいてしまいます。

4-3.債務者が裁判所からの指示に対応しない場合

裁判所に個人再生を申し立てた後には、裁判所からいろいろな指示が出されます。

家計収支表を継続して作成するように言われることもありますし、積立金の通帳のコピーを提出するよう指示されることもあります。
このような裁判所の指示に従わないと、手続を進めてもらうことができなくなり、個人再生が遅延します。

長期にわたって債務者が裁判所からの指示を無視していると、個人再生が廃止されて手続きに失敗してしまうこともあります。

4-4.債権者と、債権額について争いがある場合

個人再生では、債権額について債権者と争いがあると。手続きが長びきます。

個人再生の申立後、裁判所から債権者に債権届出を促します。
このとき、債権者が元本と利息、遅延損害金を届けてきますが、債務者としては、その金額を認められないことがあります。

そうなると、債務者が異議を出し、債権者が評価申立をすることになるので、その分手続きが延びます。
だいたい1ヶ月~2ヶ月くらいは、長くなると考えましょう。

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5.スムーズに個人再生を進める方法

以下では、できるだけスムーズに個人再生を進める方法を紹介します。

5-1.早めに書類を集める

まずは、申立前に早めに書類を集めることが重要です。

個人再生で債務者が行うべきもっとも重要で、しかも、最も大変な作業が、この書類集めです。
しかし、書類を集めきらないと申立すらできませんし、弁護士や司法書士が辞任して手続きに失敗してしまう可能性もあります。

そこで、面倒であっても、とにかく早く書類を集めて専門家に渡しましょう。
書類の詰め方がわからない場合には、弁護士や司法書士に尋ねましょう。

家族や勤務先に知られずに書類を集める工夫もできるので、そういったことが心配な場合でも、依頼している専門家に相談することをお勧めします。

5-2.弁護士・司法書士の指示にはすぐに答える

個人再生の申立後、弁護士や司法書士から連絡があったら、必ずすぐに対応すべきです。

「書類を集めて渡したからもう終わり」「申立ができたから、後は任せていたら良い」と思って放置していると、「手続きがまったく進められない状態になって弁護士や司法書士が困っていた」ということになりかねません。

裁判所からの連絡も、弁護士や司法書士を通じて伝えられることになるので、専門家の指示を無視することは、裁判所の指示を無視することにもつながります。
そこで、弁護士や司法書士からの連絡や指示にはその都度すぐに従いましょう。

5-3.予納金支払いや積立金を必ず行う

個人再生の申立をすると、東京地方裁判所では毎月予納金の支払いをするように言われます。

その他の裁判所でも、専用の通帳に積立金をするように言われることがあります。
予納金の支払いや積立金ができないと、個人再生手続きが開始しなかったり、手続きを止められてしまったりします。

手続き開始後も、積立金の通帳の提出が確認できないと、裁判所が個人再生を進めてくれなくなることがありますし、最終的には廃止されてしまうおそれがあります。
そこで、スムーズに個人再生を進めたい場合には、予納金の支払いや積立金は、必ず遅れず確実に行うことが重要です。

積立金の通帳コピーの提出を要求されたら、すぐにコピーをとって、弁護士に渡しましょう。
もしくは、積立金の通帳を弁護士に預け、カードを使って入金する方法をとってもかまいません。

5-4.債権者対応や債権者への根回し

個人再生をスムーズに進めるためには、債権者の協力を得られることが望ましいです。

サラ金やカード会社が再生計画案に反対することはあまりありませんが、申立直前に借入をしたり、弁護士に依頼後にカードで多額の追加借入やショッピングをしたりすると、債権者が個人再生に反対するケースがあります。

また、このような場合、債権額についても争いが発生することが多いです。
すると、債権額確定の段階や書面決議の段階で、障害が発生します。

そこで、そのようなことのないよう、個人再生前から適切な対応をとるべきです。
たとえば、1回も返済していない債権者がいると、争いになりがちなので、数回に返済実績を作ってから申立をしましょう。

また、弁護士に依頼してからカードで多額の出金をしたりショッピング利用をしたりするのは、控えるべきです。
また、債権者に根回ししておく必要があるケースもあります。

このような債権者対応は弁護士や司法書士に任せることになるので、具体的な対応方法については専門家に相談して進めましょう。

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