このサイトを見ている方の中には、借金返済が苦しいので、任意整理をしてみようと思っている方がたくさんおられることと思います。
ただ、任意整理を弁護士に依頼すると費用もかかるから、自分で手続きしようと考えているかもしれません。
任意整理を自分ですることはできないのでしょうか?
また、自分でするのと弁護士に依頼するのとで、どのような違いがあるのか、どちらにメリットが大きいのかも、押さえておきましょう。
今回は、任意整理を自分でする方法をご説明して、弁護士に依頼した場合との比較をしてみましょう。
1.任意整理は、自分ですることができる
任意整理は、債務整理手続きの中では比較的簡単な手続きです。
裁判所も利用しませんし、必要書類もほとんどありません。
直接債権者と交渉をして、合意さえできれば良いのです。
そこで、素人の債務者でも、自分で進めることができますし、実際に自分で任意整理をしている人も、存在します。
(任意整理を自分でした場合、損な状況で和解成立となる場合が少なくないため、一般的には専門家に依頼することが多いです。)
2.任意整理を自分ですすめる手順
自分で任意整理をするときには、以下のような手順で手続きを進めていきましょう。
2-1.取引履歴開示請求をする
まずは、取引履歴開示請求をする必要があります。
取引履歴というのは、契約当初から現在にいたるまでの、すべての入金と出金の履歴です。
いついくらを借り入れて、いついくらを返済したのか、その履歴が記載されています。
取引履歴開示請求をするためには、債権者に対し「取引履歴開示依頼書(請求書)」という書類を送付する必要があります。
取引履歴開示請求書には、以下のような内容を記載しましょう。
取引履歴開示請求書
〇〇株式会社 御中 氏名 〇〇〇〇(ふりがな) 印 住所 〇〇県〇〇市〇〇(契約当時と住所が異なる場合、契約時の住所も記載する 生年月日 昭和〇〇年〇月〇日 契約番号 〇〇〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇 前略 私は平成○○年○○月○○日、貴社との間で金銭消費貸借契約を締結し、以後現在に至るまで、借入と返済を継続してきました。 このたび、任意整理手続きを行うため、利息制限法にもとづく利息計算をして、現在の正確な借金残高を確定させたいと考えております。 つきましては、契約当初から現在に至るまでのすべての取引履歴の明細書の開示をご請求いたしますので、本書到着後2週間以内に、ご返送いただきますよう、お願いいたします。 上記期間内に取引履歴をご開示いただけない場合、監督官庁に対する行政指導ないしは行政処分を要請するなど、法的措置をとらざるを得ない可能性がありますので、よろしくご対応頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。 草々 |
内容証明郵便を使おう!
取引履歴開示請求書を送るときには、「内容証明郵便」を利用することをお勧めします。
内容証明郵便とは、郵便局が、内容を証明してくれる郵便です。
内容証明郵便を使うと、郵便局と差出人の手元に、相手に送ったものとまったく同じ内容の控えが残ります。
また、郵便局が確定日付を入れてくれるので、いつ送ったのかも明らかになります。
内容証明郵便で取引入れ記開示請求をすると、相手から「そんな請求は受けていない」と言われて無視されることを防ぐことができます。
内容証明郵便を作成するときには、決まった書式があるので、それに従って作成する必要があります。
特に、行数と文字数が決まっているので、注意が必要です。
規定を超過すると、郵便局が受け付けてくれません。
また、内容証明郵便を発送するときには、受け付けている郵便局が限られているので、事前に取扱いがあるかを調べておく必要があります。
内容証明郵便では、まったく同じ内容の郵便が3通必要です。
1通は相手に送付する分、1通は郵便局が控えにする分、1通は自分の控えにする分です。
そこで、ないよう証明郵便用の、3枚複写の原稿用紙を使うか、パソコンで文書を作成して、3部プリントアウトすると良いです。
郵便局に行く暇がないとか、手間になると感じる場合、ウェブ上から電子内容証明郵便のサービスを利用して、通知書を発送することもできます。
料金もほとんど変わらない(1000円超)ので、使いやすい方法で発送をすると良いでしょう。
2-2.取引履歴開示書類を受けとる
取引履歴開示請求書を送ると、債権者から順々に取引履歴開示書類が送られてきます。
FAX番号を通知した場合にはFAXで送られてくることもありますが、そうでない場合、郵送されてきます。
取引履歴の開示が行われるまでの期間は、債権者によっていろいろです。
請求後1週間もかからずに送付してくる業者もあれば、1ヶ月以上経過しても開示しない業者もあります。
開示しない業者に対しては、金融庁への報告なども検討しなければならないので、連絡を入れて、速やかに開示するように督促しましょう。
2-3.全ての取引が記載されているか、確認する
取引履歴の開示書類を受けとったら、まずはその内容を確かめる必要があります。
このとき重要なのは、契約当初から現在に至るまでの、全ての履歴が開示されているかどうかという点です。
特に1回または数回完済していて、取引が分断されている場合には、完済前の取引履歴が抜けていることがあるので、しっかりチェックしましょう。
古い取引がある場合、利息制限法に引き直して計算をしたら、借金額が大きく減ったり、場合によっては過払金が発生していたりするので、必ず当初の分から確実にすべて開示させることが必要です。
もし、抜けている取引履歴があったら、業者に連絡を入れて、「~の分がないから、送ってほしい」と言いましょう。
このとき、相手からは「その間の取引があったことがわかる資料を提示してほしい」と言われることが多いので、当時の入金がわかる預貯金通帳や振り込み証、当初の契約書などを探しておいた方が良いです。
2-4.利息制限法に引き直し計算する
契約当初から現在に至るまでの全ての取引履歴が開示されたら、それを、利息制限法の上限利率に引き直して計算し直す必要があります。
特に、平成20年以前から取引があった場合には、利息制限法の上限利率を超過した利率での取引があった可能性が高いので、引き直し計算の必要性が高いです。
上限利率を超える利率での取引があると、借金の金額が大きく減ったり、過払金が発生していることが判明したりします。
利息制限法に引き直し計算をするときには、専用の利息制限法引き直し計算ソフトを利用します。
利息制限法引き直し計算ソフトは、ウェブ上で検索すると、無料でダウンロードできるものがたくさん見つかるので、利用するとよいです。
(フリーソフトは、ウィルス感染する場合もありますので、慎重に選んでください。)
利息制限法引き直しソフトを起動すると、入金日とその金額、出金日とその金額を入力することができます。
そこで、開示された取引履歴に記載された、すべての入金と出金を入力していきます。
そして、計算を実行すると、借金の残高が表示されます。
これが、利息制限法に引き直した現在の正確な残高であり、今後の交渉の基本となる数字となります。
利息制限法引き直し計算をするときには、入金と出金の日付と金額を、間違いなく入力していくことが重要です。
間違えると、金額が全く異なってしまうこともあるので、慎重に入力していきましょう。
2-5.返済計画を立てる
利息制限法への引き直し計算が終わったら、現在の借金の正確な残高がわかります。
そこで、その金額を元に、今後の返済計画を立てていくことになります。
任意整理をするときには、利息や遅延損害金をカットしてもらうことができます。
そこで、返済計画を立てるとき、利息や遅延損害金を加算する必要はありません。
元本限りを分割返済するプランを立てれば良いので、難しくありません。
たとえば、借金残高が200万円なら、5年で返済すると1ヶ月あたり33000円余りです。
借金残高が100万円なら、5年で返済すると16600円程度です。
もし余裕があるなら、3年返済にして、1ヶ月27700円程度を支払うプランにすることもできます。
複数の債権者と任意整理するときには、1社については3年払い、1社については5年払い、1社については1年払いなどとすることも可能です。
自分の返済能力と相談しながら、無理のない計画を立てましょう。
2-6.交渉をする
返済計画ができたら、その内容を債権者に伝えて交渉を開始します。
1社ごとに、借金の残高と、予定している返済方法の打診を行いましょう。
債権者に対しては、通知書ないし連絡書として、「現在の残高が〇〇円となっているので、これを〇年払い、月々〇万円ずつ支払っていきたい」という内容を記載して、書類を送付します。
すると、債権者から、受諾するかどうかの連絡があります。
受諾できない場合には、どのような条件を希望するかも告げられることが普通です。
すると、今度はこちらが、相手の提案を受諾できるかどうか、検討することになります。
受諾できるのであれば、その条件で合意ができますし、受諾できなければ、再度こちらから別の提案をして、交渉を継続していくことになります。
よくある債権者の対応
債務者が自分で債権者と交渉をするとき、債権者は、以下のような返答をすることがよくあります。
利息をカットしない
まず、利息のカットができないと言われることがあります。
任意整理で合意後の支払期間中にも、利息が発生するので、その分を完済まで支払続けてほしいと言われるのです。
しかし、利息を支払うなら、任意整理をする意味がほとんどなくなってしまいます。
そこで、このような要求には応じるべきではありません。
合意時までの遅延損害金をカットしない
債権者から、「合意時までに発生する遅延損害金を支払ってほしい」と言われることもあります。
ただ、弁護士会の任意整理の統一基準によると、弁護が任意整理を行うときには、遅延損害金についてもカットすべきとされています。
このことからすると、債務者本人が交渉をするときでも、なるべくならば、遅延損害金のカットを求めていくべきです。
返済を早めるように求める
債務者が自分で債権者と交渉すると、債権者から、「もっと早く借金を完済してほしい」と言われることがあります。
任意整理によって借金返済が楽になるのは、返済期間を延ばせることが理由として大きいです。
しかし、返済期間を短くされてしまうと、あまり支払が楽にならず、任意整理をするメリットが小さくなります。
月々の金額を上げるように求める
債務者が債権者に対して支払計画書を送ると、債権者が「もっと月々の支払額を上げてほしい」と言ってくることがあります。
「うちの社内規定では、最低5000円以上支払ってくれないと、合意しないことになっている」などと言われるケースもあります。
しかし、すべての債権者に対して月々の金額を上げていると、支払い総額が増えすぎて、任意整理後の支払が難しくなってしまうおそれが高まります。
債権者が月々の支払金額の増額を求めてきても、簡単に応じることなく、返済出来る範囲で慎重に合意をしていくことが大切です。
期限の利益喪失条項について
このことは、弁護士や司法書士がついている場合も同じですが、債権者は任意整理の交渉をするとき、「期限の利益喪失条項」を入れてほしい、と言ってくることが多いです。
期限の利益喪失条項というのは、債務者が任意整理後の支払いをせず、滞納金額が一定に達したときに、分割払いができなくなるという条項です。
任意整理後の支払いは、毎月の分割払いで行うことが普通です。
しかし、債務者が滞納を続ける場合にまでいつまでも分割払いを認めると、債権者にとっては不利益となります。
そこで、債務者が支払を滞納して、遅延分が一定になると、分割払いを認めず、そのときの借金残金をまとめて請求できる内容の約束をするのです。
多くのケースでは、2ヶ月分の返済を遅延すると、期限の利益を喪失すると規定されることが多いです。
そこで、任意整理をした後は、必ず返済に遅れないこと、特に2ヶ月分以上の滞納をしないことが、非常に重要となります。
そうでないと、債権者から借金の一括請求をされますし、支払に応じなかったら裁判を起こされて給料等を取り立てられるおそれもあります。
任意整理後の支払いに遅れた場合の遅延損害金について
これも、弁護士に依頼した場合にも同じことを言われるのですが、任意整理の交渉時、債権者から、「遅延した場合の遅延損害金をつけてほしい」と言われることが多いです。
これは、任意整理後の支払いを遅延したときに発生する遅延損害金です。
年率は業者にもよりますが、6%~14.6%くらいまで、さまざまです。
なるべく安くしてもらった方が、債務者としては安心です。
2-7.合意書を作成する
交渉によって債権者との間で合意ができたら、その合意内容をまとめた「合意書」を作成します。
債務者が自分で交渉をしているときには、債権者が合意書を2通作って送付してくることが多いです。
この場合、債務者が署名押印をして1通返送すると、合意が有効となります。
合意書には、支払合意をした金額に応じて、200円~1000円程度の収入印紙を貼付する必要があります。
(収入印紙を貼らなくても、合意書自体は有効です。)
合意書は、任意整理によって借金を整理したことを証明するために必要な、重要書類です。必ずなくさないように、大切に保管しましょう。
できればコピーをとっておいて、万一の場合に備えておくことをお勧めします。
2-8.支払を開始する
合意ができたら、その内容に従って支払を開始します。
合意書に記載された通りに支払を終えたら、借金を完済したことになります。
もし、途中で支払を滞納すると、債権者から督促を受けることになりますし、支払ができなくなったら個人再生や自己破産等の別の債務整理をしなければなりません。
必ず、確実に最後まで支払を行いましょう。
2-9.債権者から、契約書または完済証明書の送付を受ける
任意整理後の支払いを終えると、債権者からは、当初の契約書または完済証明書が送られてきます。
サラ金などの場合には、契約書があるので、消費者金融側が保管していた契約書が送られてきますし、カード会社などの場合には、契約書を作成していないので、完済証明書が送られてくることが普通です。
これらの書類の送付を受けたら、晴れて借金がなくなったということです。
受けとった書類は、大切に保管しておきましょう。
2-10.過払金請求できる場合もある
ところで、任意整理の手続き中に、過払金が見つかることがあります。
過払金が見つかるのは、借金を利息制限法に引き直し計算をしたタイミングです。
過去(平成20年頃以前)に、長期間利息制限法を超過する利率で取引していた場合には、過払い利息の金額が大きくなりすぎて、現在の借金を完済し、さらに相手に払いすぎ利息を請求することができるのです。
過払金があることがわかったら、任意整理の手続きを過払い金請求に切り替える必要があります。
この場合には、相手に対して「過払い金返還請求書」を送付して、過払金についての返還交渉を行うこととなります。
過払金返還請求書も、取引履歴開示請求書と同様、重要書類なので、内容証明郵便を利用して送りましょう。
相手との交渉によって過払金の返還についての合意ができたら、過払い金返還についての合意書を作成し、その内容に従って相手から過払金の返還を受けることができます。
以上が、債務者が自分で債権者と任意整理をする場合の手順です。
3.任意整理を弁護士に依頼する場合のメリット
任意整理を弁護士に依頼すると、自分で手続きするのとではどのような違いがあるのでしょうか?
以下で、弁護士に依頼する場合のメリットを確認していきましょう。
3-1.受任通知の送付とともに督促が止まる
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、弁護士や司法書士が債権者に対して「受任通知」を送った時点で、債権者からの督促がストップします。
貸金業法という法律により、「弁護士や司法書士が債務整理に介入した場合、貸金業者は債務者に督促してはいけない」と定められているからです。
違反すると罰則や行政指導があるので、貸金業者はこの取り立て規制を守ります。
ところが、債務者が自分で交渉をするときには、このような規定が適用されません。
自分で債務整理をした場合、任意整理を始めた後でも督促書類が届くことがあり、不利益が大きいです。
3-2.正確に利息制限法引き直し計算ができる
任意整理で最も重要なポイントの1つは、利息制限法への引き直し計算です。
正しく計算をすると、大きく借金が減額されたり、過払金が発見されたりします。
ただ、この計算は、全ての取引履歴を正確に入力しないといけないというもので、非常に面倒ですし、間違いも起こりやすいです。
債務者が自分で計算すると、面倒で途中で嫌になってしまうこともありますし、計算を間違ってしまって、債権者から「もう一度やり直してください」と言われることもあります。
もし、間違って本来より高い残高が残る計算をしてしまった場合、債権者が指摘してくれなかったら、その高い金額を支払わなければならない可能性もあります。
弁護士に依頼すると、正確に計算してくれて、減額できるケースでは確実に減額してもらうことができるので、メリットが非常に大きいです。
3-3.適切な返済計画を立てることができる
任意整理で重要なポイントの1つは、返済計画の立案です。
無理な返済計画を立ててしまったら、その後の返済が苦しくなってしまうおそれがありますが、かといってあまりに長い返済計画になると、債権者も納得してくれません。
債務者自身、途中で疲れてしまうおそれもあります。
ところが、債務者が自分で返済計画を立てると、感覚がわからないので、どうしても無理な計画内容になってしまうことがあります。
始めは妥当な計画でも、債権者が「もっと早く支払ってほしい」とか「利息はカットしない」などと言ってきたとき、「仕方ないのかな。」と思って安易に応じてしまいます。
すると、結局支払えなくなって、大変な不利益を受けることになります。
3-4.債務者はほとんど何もしなくていい
任意整理を弁護士に依頼すると、ほとんどすべての手続きを弁護士が代行してくれます。
取引履歴の開示請求書の作成と送付、利息制限法への引き直し計算、返済計画の立案と送付、債権者との交渉、合意書の作成締結まで、基本的に弁護士が行います。
そこで、債務者自身は、ほとんど何もしなくてよくなります。
普段通りの生活を続けることができるので、大きなメリットがあります。
仕事や家事育児などで毎日忙しくしている人は、非常に助かると感じるでしょう。
3-5.家族に秘密で手続きできる
借金をしている人は、家族に秘密にしていることが多いです。
任意整理をするときにも、家族には絶対知られたくないことがあるでしょう。
しかし、債務者が自分で任意整理をすると、家族に秘密にしたまま手続きを進めることは、ほとんど不可能と言えます。
債権者からは、大量の取引履歴の開示書が送られてきますし、次々に電話や郵便などで連絡や問合せがあります。
自宅に郵便を送ってもらったら確実に家族に見られてしまいますが、このような重要な書類を勤務先などの別の場所に送ってもらうことも難しいでしょう。
また、利息制限法引き直し計算や、各種書類の作成も必要です。
いつも夜遅くまで自室に閉じこもり、このような作業をしていたら、「何をしているのか?」と怪しまれます。
この点、弁護士や司法書士に手続きを依頼すると、債権者からの連絡はすべて弁護士事務所に届きますし、計算書の作成や通知書の作成等もすべて弁護士がしてくれるので、家族に知られるリスクはほとんど0になります。
あとは、弁護士とのやりとりの方法にさえ気をつけていたら、家族に秘密で任意整理を終えてしまうことも、難しいことではありません。
3-6.利息と遅延損害金をカットできる
任意整理のメリットの1つは、合意後の利息や合意時までの遅延損害金をカットできることです。
ところが、債務者が自分で交渉をする場合、債権者は利息や遅延損害金のカットに応じないことがあります。
利息のカットに応じてもらえないなら、任意整理する意味がほとんどなくなります。
これに対し、弁護士や司法書士が介入する場合、利息はカットしてもらえますし、遅延損害金もカットしてもらえることが多いです。
そこで、効果的に任意整理を行いたいなら、弁護士などの専門家に依頼する必要があります。
3-7.交渉が有利に進む
任意整理を成功させるためには、債権者との交渉を有利に進めなければなりません。
交渉に失敗すると、借金額があまり減額されなかったり、支払の条件をタイトにされたりして、借金支払いがあまり楽にならないからです。
債務者が自分で交渉をすると、どうしても債権者主導で話が進んでしまい、不利な条件を押しつけられることが多いです。
弁護士や司法書士は、任意整理の交渉のプロなので、債務者に不利な条件で和解してしまうことはありません。
もし、どうしても合意ができない場合には、個人再生等の別の手続きを検討して、借金問題を解決できるように導いてくれます。
3-8.合意書を主導的に作成してくれる
任意整理で和解ができたら、合意書の形にまとめる必要があります。
債務者が自分で対応していると、債権者側が合意書を作成して送ってくるので、債務者自身が、自分に不利な内容になっていないかをチェックする必要があります。
気づかないままに合意書にサインしたら、その内容が有効になってしまうので、後で思ってもみなかったような不利益を受けるおそれもあります。
これに対し、弁護士や司法書士に任意整理を依頼すると、専門家が合意書を作ってくれるので、安心です。
3-9.過払い金請求もしてもらえる
任意整理中に過払金が見つかったら、債権者に対して過払い金請求書を送って過払い金返還の交渉をしなければなりません。
過払金の交渉は、任意整理以上に難しくなります。
債務者が自分で交渉をすると、満額の3割以下しか返還してもらえなかったり、「借金がチャラになるなら、いいじゃないですか。
0-0で和解しましょう(つまり、過払い金返還は受けられない)」と言われたりすることもあります。
これに対し、弁護士や司法書士に対応を依頼していたら、正当な金額の返還を受けられるように交渉してくれますし、相手が返還に応じない場合には、訴訟をしてでも回収してくれるので、大きなメリットがあります。
以上のように、任意整理をするときには、明らかに弁護士や司法書士に依頼した方が得になります。
自分ですると、リスクが大きくなる上、減額ができずに任意整理をした意味がなくなることもあるので、避けるべきです。
4.弁護士費用がかかっても、弁護士に依頼すべき?
弁護士や司法書士に任意整理を依頼すると、やはり費用がかかることがネックです。
ただ、それは考えているほど大きな負担ではありません。
金額的には10万円~20万円程度になることが多いですが、着手金無料や後払いの事務所を利用したら、当初の支払は不要です。
また、安い事務所を探したら、10万円以下で依頼できるケースも多いです。
法テラスを利用すると、月々5000円ずつの支払いで、弁護士に依頼することもできます。
このように、任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、費用以上にリターンが大きいです。
これから任意整理をするなら、債務整理に強い事務所を探して手続を依頼しょう。
まとめ
今回は、任意整理を自分でする場合と弁護士に依頼する場合とを比較してみました。
自分ですると、非常に手間がかかる上、不利な条件を押しつけられるおそれもあり、デメリットが大きいです。
弁護士費用や司法書士費用については、支払う手立てがいくらでもあるので、任意整理をするならば、債務整理に強い弁護士か司法書士を探して依頼しましょう。