「自己破産をすると、借金が0になります。」
最近では、こういったことも知られてきているので、これから自己破産したいと考えている方も多いのではないでしょうか?
ただ、自己破産をするときには裁判所への申立が必要ですし、かなり長い期間がかかりそうで心配、ということがあるかもしれません。
自己破産は、長くかかるケースもありますが、たいていは3ヶ月くらいで終わります。
今回は、自己破産のスケジュールとかかる期間について、説明します。
1.自己破産の期間は、手続きの種類で異なる
「これから自己破産をするけれど、すごく長い時間がかかるなら、嫌だな…」
そのように考えておられる方がおられるかもしれません。
確かに、破産というと、裁判所でいろいろなややこしい手続きがありそうで、時間がかかりそうなイメージがあります。
ただ、自己破産には、同時廃止と管財事件という2種類の手続きがあり、どちらになるかによって、スケジュールと期間が大きく変わってきます。
1-1.同時廃止とは
同時廃止というのは、財産がほとんどない人が破産するときに適用される、簡単な破産手続きです。
同時廃止の場合、破産手続き開始決定があると、同時に破産手続きが廃止されます。
廃止というのは、終わるということです。
このように、開始と同時に廃止されるので、「同時廃止」と呼ばれます。
自己破産というと、破産管財人が有名ですが、同時廃止の場合には、破産管財人は選任されません。
1-2.管財事件とは
管財事件というのは、財産が一定以上ある人や免責不許可事由がある人が破産するときに採用される、複雑な破産手続きです。
管財事件になるのは、預貯金などの個別の資産が20万円を超えるケースや、総資産額が99万円を超えるケースです。酷いギャンブルや浪費がある場合にも、管財事件になることがあります。
管財事件になると「破産管財人」が選任されますし、裁判所でいろいろな手続きが必要になって、期間が長くなってしまいます。
自己破産のスケジュールを把握したいとき、上記の同時廃止と管財事件のどちらになるかが非常に重要です。
2.自己破産のスケジュール
それでは、早速自己破産のスケジュールを確認していきましょう。
2-1.弁護士、司法書士に相談する
自己破産をするとき、自分で申立ができないわけではありませんが、弁護士や司法書士に依頼することがほとんどです。
自己破産を申し立てるには、非常にたくさんの書類を集めないといけませんし、必要書類の種類もケースによって異なります。
また、申立のために作成しなければならない書類も多いです。
申立をした後も、破産管財人との面談などが必要で、裁判所に行かないといけない機会もたくさんあります。
自分一人で対応するのは非常に心細いものですから、やはり弁護士や司法書士の力を借りるべきなのです。
そこで、自己破産をするときは、まずはこうした専門家に相談に行くところから始めます。
相談を受けるときには、「無料相談」を利用しましょう。
法テラスや弁護士会、司法書士会などでも無料相談を受け付けていますが、一般の弁護士事務所や司法書士事務所でも無料相談サービスをしています。
ネット上のホームページを検索して、気に入った専門家に連絡をして、相談を受けると良いです。
2-2.弁護士・司法書士と委任契約をする
弁護士や司法書士に相談をして、自己破産をすることに決定すると、委任契約を締結します。
弁護士や司法書士が委任契約書を用意してくれるので、依頼者は基本的に署名押印するだけで契約の手続きができます。
同時に委任状を渡し、着手金を支払います。
着手金が分割払いの場合には1回目のみを支払いますし、後払いの場合には支払をしないこともあります。
また、同時に実費も支払うことが普通です。
料金の支払いは、現金払いでも振込でも対応可能です。
2-3.専門家が受任通知を送り、債権調査をする
委任契約と着手金の支払いが済むと、弁護士や司法書士が、債権者に受任通知を送ります。
受任通知とは、「弁護士や司法書士が自己破産の依頼を受けました。これから、自己破産の手続を進めていきます」ということが書いてある書類です。
また、この時同時に「債権調査票」を送ります。
債権調査票とは、どのような債権があるかを債権者が明らかにする書類です。
債権者に、債権届けをしてもらうということです。
破産申立をするためには、全ての債権者から債権調査票を提出してもらう必要があるので、こうして債権調査を行うのです。
債権者からの督促が止まる
弁護士や司法書士が債権者に対して受任通知を送ると、債権者(貸金業者)から債務者(あなた)への直接の支払い督促ができなくなります。
貸金業法という法律に、「弁護士や司法書士が債務整理に介入した後は、貸金業者は債務者に直接取り立てをしてはいけない」と規定されているからです。
銀行は貸金業者ではありませんが、同じように、弁護士や司法書士の介入後は債務者に連絡してきません。
そこで、弁護士や司法書士に自己破産を依頼したら、自宅に電話もかかってきませんし、手紙も一切届かなくなります。
また、弁護士や司法書士に手続きを始めてもらうと、そのときから借金の支払いがストップします。
まだ自己破産の決定は出ていないのですが、依頼した時点でとりあえず支払をしなくて良くなるのです。
そのまま無事に免責がおりたら、ずっと返済はしなくて済みます。
このように、自己破産を弁護士や司法書士に依頼すると、督促がなくなる上に支払いもしなくてよくなるので、まるで借金がないのと同じように生活ができるようになります。
2-4.書類を集める
借金返済をしなくてよくなっても、まだ裁判所に申立すらしていないのですから、この時点では何の解決もできていません。
そこで、自己破産申立のための必要書類を集めなければなりません。
自己破産の必要書類は非常にたくさんあるのですが、専門家の指示通りに順番に集めていけば、思っているより楽に収集できるものです。
書類を全部揃えないと申立に進むことができないので、なるべく早めに揃えましょう。
書類収集にかける期間の目安は、1ヶ月程度です。
それを超えたら、急ぐ必要があります。
2-5.申立をする
必要書類を揃えることができたら、依頼先の弁護士や司法書士の所に持参します。
すると、弁護士や司法書士が、自己破産の申立をしてくれます。
申立後、書類に不備があったら裁判所から弁護士や司法書士に連絡があるので、指示に従って訂正や追加の資料提出をする必要があります。
2-6.破産審尋を受ける
裁判所によっては、申立後に「破産審尋」という手続きが行われることがあります。
破産審尋とは、裁判官が破産者と面談して質問をする手続きです。
破産審尋は、同時廃止か管財事件のどちらで手続を進めるかを決めるために行われます。
聞かれる内容は、どのくらい財産があるか、どのくらい借金があるのか、支払いが出来なくなった理由は、などです。
そう難しいことを聞かれるわけではありません。
素直に答えていけば、問題なく終了します。
破産審尋にかかる時間は10分~15分くらいです。
弁護士が代理人になっている場合には、弁護士も審尋の場に同席してくれて、一緒に質問に答えたりしてサポートしてくれます。
司法書士の場合、審尋に立ち会う権限はないので、室外で待機してもらう形になります。
破産審尋は、省略されることも多い
破産審尋は、行われない裁判所も多いです。
特に、弁護士が代理で自己破産を申し立てる場合、基本的に省略されやすいです。
東京地方裁判所では、弁護士が代理で申し立てる場合「即日面接」という手続きが行われています。
即日面接とは、申し立てたその日に裁判官と弁護士が面談をすることです。
債務者が出席する必要はありません。
裁判官は、弁護士と面談した結果に応じて同時廃止にするか管財事件にするかを決めるので、あえて破産審尋を行いません。
2-7.破産手続き開始決定が下りる
破産審尋が終わったら、破産手続き開始決定が下ります。
破産審尋が行われない裁判所では、申立後書類に不備がなかったら、破産手続き開始決定が下ります。
2-8.官報公告される
破産手続き開始決定が出ると、決定内容について「官報公告」が行われます。
官報公告とは、政府が発行している「官報」という機関誌に、破産情報が掲載されることです。
官報公告が行われるのは、破産手続き開始決定後2週間くらいのタイミングです。
2-9.破産手続き開始決定までの期間
破産審尋が行われる裁判所の場合、申立から破産手続き開始決定が下りるまで、だいたい2週間~1ヶ月くらいかかります。
破産審尋なしの裁判所の場合、申立から破産手続き開始決定まで、1日~1週間程度です。
東京地方裁判所では、弁護士に代理を依頼して即日面接をすると、破産審尋の手続きがなくなるので、大きく期間を短縮することができます。
以上のように、破産手続き開始決定を受けるところまでは、同時廃止でも管財事件でもまったく同じ手続きの流れとなります。
この後は、2つの手続きにより、大きく展開が変わってきます。
3.同時廃止の場合
まずは、同時廃止となった場合の手続きの流れを確認しましょう。
3-1.破産手続きが廃止される
同時廃止の場合、破産手続き開始決定が下りると同時に、破産手続きが廃止されます。
破産というのは、債務者の財産を換価(現金化)して、債権者に配当する手続きです。
同時廃止の場合、破産者に財産がないので、換価と配当を行うことができません。
そこで、破産手続きを始めると同時に終わらせてしまうのです。
3-2.免責審尋を受ける
同時廃止で破産手続き開始決定が下りると、その後債務者の元に「免責審尋の日にち」について連絡が来ます。
免責審尋も、債務者と裁判官が面談して、裁判官から質問を受ける手続きです。
ただ、「破産手続きを開始するかどうか」を判断するための破産審尋とは異なり、「債務者に免責(借金を0にする決定)を認めても良いかどうか」、裁判官が判断することを目的としています。
そこで、免責審尋で不適切な対応をすると、場合によっては免責を認めてもらえない可能性もあるということになります。
(実際には免責審尋での態度が原因で免責されないことは、少ないです。)
免責審尋が行われる方法は、全国の裁判所によって大きく異なります。
債務者が集団で1つの部屋に集められて、順番に1人1人あてられて質問をされる方式(集団審尋)もありますし、裁判官と債務者が1対1で話をする、個別審尋を採用する裁判所もあります。
基本的には集団審尋をするけれども、免責不許可事由があるなど慎重な対応が必要なケースでのみ、個別審尋をする裁判所もあります。
集団審尋の場合には、もしあてられることがあったら、質問に答えなければなりません。
たとえば「これからどのようなことに気をつけていこうと思っているか」や「どうして借金してしまったと思っているか」などが聞かれます。
あてられない場合には、全く発言しなくても審尋が終わるケースもあります。
個別審尋のケースでも、聞かれる内容は同じようなことですが、1対1なので、すべて自分で答えなければなりません。
弁護士が代理人になっている場合には、集団審尋でも個別審尋でも、一緒に部屋に入ってくれるので心強いです。
免責審尋にかかる時間は、10分~15分くらいですから、すぐに終わります。
3-3.免責決定が下りる
免責審尋が終わったら、その後裁判所が免責についての判断を行い、特に免責不許可事由がない場合には、免責決定をします。
免責不許可事由がある場合には、裁量免責ができるかどうかを検討し、裁量免責ができる事案であれば、免責決定をします。
免責決定が下りて確定すると、借金返済義務が正式になくなります。
3-4.同時廃止にかかる期間
同時廃止の場合、自己破産の申立から免責決定までにかかる期間は、だいたい3ヶ月程度です。
そこで、弁護士に自己破産を依頼してから、スムーズに進んだ場合、4ヶ月程度で免責を受けられる可能性があります。
自己破産とは言っても、同時廃止になったらほとんど裁判所に行く機会もありませんし、手続きも早く終わるので、債務者の負担は非常に軽いです。
4.管財事件の場合
管財事件が選択されると、手続きの流れはどうなるのでしょうか?
破産手続き開始決定後のスケジュールを確認していきましょう。
4-1.管財人が選任される
管財事件になると、破産手続き開始決定と同時に「破産管財人」が選任されます。
破産管財人とは、破産者の財産を管理し、換価して、債権者に配当するという「破産」の手続きを進める人のことです。
破産管財人は、申立先の裁判所の管内の弁護士から選任されます。
破産管財人が選任されると、債務者宛に届いた郵便物は、すべて破産管財人宛に転送されるようになります。
そして、破産管財人は、債務者宛に届いた郵便物を開封して、中身を確かめることができます。
たとえば、裁判所に報告していない債権者や財産があると、破産管財人に届いた郵便をきっかけにして、バレてしまう可能性があります。
4-2.管財人と面談して、財産の引継をする
管財事件で破産手続き開始決定が出ると、すぐに破産管財人と面談しなければなりません。
その際、管財人に財産や資料の引継を行います。
自己破産の申立を弁護士に依頼していたら、弁護士が管財人に資料等を届けてくれます。
管財人は裁判所管内の弁護士なので、面談の際には債務者が管財人の事務所に行かなければなりません。
自己破産を弁護士や司法書士に依頼していたら、そうした代理人も一緒に来てくれます。
管財人からは、借金の状況や財産の内容、資料を見て気になったことなどを質問されます。
特に怒られたりすることはないので、かまえる必要はありません。
困ったときには、申立を依頼した弁護士や司法書士も助けてくれます。
管財人が選任された後は、管財人の事務所に郵便物が届くので、必要な郵便は都度管財人の事務所に受取に行く必要があります。
4-3.管財人が換価業務を行う
破産管財人が選任されると、管財人は速やかに債務者の財産の換価(現金化)を開始します。
債務者名義の預貯金があったら解約しますし、生命保険があったら解約して解約返戻金を管財人の口座に入金します。
不動産があったら売却しますし、売掛金や貸付金があったら、請求して回収します。
4-4.債権者集会が開催される
破産管財人が換価業務を終了するまでには、数ヶ月かかります。
そこで、その間定期的に裁判所で債権者集会と財産状況報告集会が開かれます。
債権者集会や財産状況報告集会では、破産管財人が換価の進捗状況を報告します。
債務者も出席する必要がありますが、債権者は出席しないことが多いです。
債権者集会や財産状況報告集会は、だいたい月1回のペースで開催されます。
自己破産を弁護士に依頼している場合には、弁護士も集会に同席してくれますが、司法書士の場合には、同席する権限がないので、集会自体には債務者1人で参加する必要があります。
ただ、司法書士も裁判所には一緒に来てくれますし、後ろに控えて待っていてくれることが普通です。
4-5.換価業務が終了する
管財人が換価業務を始めて数ヶ月が経過して、すべての財産の換価が終わったら、換価業務が終了します。
そして、破産管財人は、裁判所に配当表を提出します。
4-6.破産手続きが廃止される
換価と配当の手続きが終了したら、破産手続きが廃止されます。
最後の債権者集会・財産状況報告集会において、破産手続きが廃止されます。
この時点では、債務者の借金はまだなくなっていません。
4-7.免責決定が下りる
破産手続きが廃止されたら、その後裁判所が免責についての判断をします。
免責不許可事由がない場合には、ほとんど問題なく免責してもらうことができます。
免責不許可事由がある場合には、破産管財人による意見などを聞きながら、裁判所が裁量免責するかどうかを判断します。
1回目の破産の場合には、浪費やギャンブルなどをしていても、裁量免責してもらえることがほとんどです。
4-8.免責決定が確定する
免責決定が下りたら、その後2週間くらい経って官報公告されます。
その2週間後、免責決定が確定します。
これにより、ようやく借金が正式になくなります。
4-9.管財事件にかかる期間
自己破産が管財事件になると、期間が長くなります。
申立から免責までに、最低半年程度かかると考えましょう。
債務者の財産内容が複雑な場合などには、手続きが長びいて10ヶ月以上かかるケースもあります。
自己破産するとき、財産がいくらかあって管財事件になりそうなら、ある程度時間がかかることは覚悟しなければなりません。
5.自己破産の期間中、困ることはある?
自己破産の期間は、同時廃止になっても管財事件になっても1年以内で終わることが普通です。
そうだとしても、期間中何か不都合が起こることは、ないのでしょうか?
5-1.資格制限
1つは、資格制限です。
破産手続き開始決定が下りると、そのときから破産者は、一定の資格を制限されます。
具体的には、一定の職業に就くことができなくなり、成年後見人になることもできなくなります。
制限される職業は、弁護士や司法書士、税理士や不動産鑑定士、行政書士や社会保険労務士などの士業の仕事や宅建業者、旅行業者、貸金業者、質屋、警備員や保険外交員などです。
制限されない職業の人には無関係ですが、制限を受ける場合、自己破産の期間中に仕事ができなくなってしまうこともあるので、影響が大きいです。
また、資格制限を受けると、認知症の人の財産管理などを行う成年後見人、保佐人、補助人などになることもできません。
5-2.住居制限
管財事件になると、住居制限を受けます。
住居制限とは、引っ越しや長期旅行を制限されることです。
破産者が財産隠しをしたり逃亡したりすることを防止する目的です。
ただ、自己破産期間中であっても、裁判所の許可を得たら、引っ越しをすることもできますし、長期旅行も可能です。
引っ越しをしたい場合に許可の申請をすると、たいていは認めてもらえるので、さほど神経質になる必要はありません。
同時廃止の場合には、住居制限はありません。
5-3.郵便物の転送
自己破産が管財事件になると、郵便物が破産管財人の事務所に転送されてしまいます。
たとえば水道光熱費や電話代などを現金払いにしている人は、毎月管財人の事務所に納付用紙を取りに行かないと、遅延状態になって電気等を止められるおそれがあります。
こうした制限は、自己破産で免責決定が確定したら解除されます。
制限を受けている期間中は多少不便な思いをすることになるので、覚えておきましょう。
6.自己破産を早く終わらせる方法は?
自己破産の期間をなるべく短くして、早く終わらせるには、どのような工夫をすることができるのでしょうか?
6-1.早く書類を集める
まず大切なのは、申立前の書類集めです。
自己破産の書類集めは大変なので、ここで非常に長い時間をかける人がいます。
書類集めにてこずって、半年くらい平気で経過してしまう人もいます。
反面、早く集める人は、1ヶ月もあれば、完全に揃えてきます。
ここで、数ヶ月以上の開きが出てしまうのです。
自己破産を早く終わらせたいなら、早く全ての書類を集めきってしまうことです。
収集の方法がわからない場合には、依頼している弁護士や司法書士に質問をして、積極的に取り組みましょう。
6-2.弁護士や司法書士の指示に従う
自己破産をスムーズに進めるためには、申立を依頼している弁護士や司法書士の指示に従うことが大切です。
申立前、申立の際、破産手続きの進行中など、申立代理人からいろいろな連絡が来ます。
裁判所に行く日時の連絡も受けますし、追加の提出物についての依頼もあります。
このような連絡をきちんと受けて、対応すればスムーズに破産手続きが進みますが、弁護士からの連絡を無視したり、対応しなかったりすると、破産手続きがどんどん遅れていきます。
6-3.裁判所や管財人の指示に従う
破産をスムーズに進めるためには、裁判所や管財人の指示に従うことも重要です。
裁判所や管財人に協力しないと、免責不許可事由になるので、免責を受けられないおそれも出てきてしまいます。
調査依頼や各種報告の指示、書面の提出依頼などを受けたら、即時に対応しましょう。
6-4.なるべく同時廃止になるように申立をする
自己破産は、管財事件になると、それだけで手続きが非常に伸びてしまいます。
同時廃止なら3ヶ月程度で終わるところ、管財事件なら半年はかかってしまうためです。
そこで、なるべく早く自己破産を終わらせたいなら、同時廃止で進めることが効果的です。
もちろん、明らかに多額の財産があって管財事件を避けられないときにはやむを得ませんが、工夫次第で同時廃止にできるケースもあります。
たとえば、預貯金が20万円超の場合には、生活費のためなどで出金して20万円を切ったタイミングで申立をしましょう。
生命保険などがある場合には、解約して現金の形にしておいたら、同時廃止で進めてもらうことができます。
現金であれば99万円まで持っていても同時廃止で破産できるからです。
同時廃止にすると、財産を没収されることもないので、2重にメリットがあります。
たとえば、30万円の解約返戻金のある生命保険があるとき、生命保険のまま持っていたら、
管財事件になって解約返戻金が没収されてしまいますが、現金に換えていたら、同時廃止になり、30万円の現金をとられることもないのです。
このように、同時廃止か管財事件のどちらになるかや、なるべく同時廃止にする工夫についての判断は、素人では難しいです。
専門の弁護士や司法書士に依頼することをお勧めします。
また、こうした判断を的確に行ってもらうためには、債務整理や自己破産の経験が豊富でノウハウを把握している専門家が望ましいです。
自己破産を依頼するなら、債務整理に専門的に取り組んでいる弁護士や司法書士を選びましょう。
まとめ
今回は、自己破産のスケジュールと、かかる期間について解説しました。
自己破産には、同時廃止と管財事件の2種類の手続きがあります。
同時廃止になった方が、圧倒的に期間が短くなりますし、手続きも簡単です。
自己破産でかかる期間を短くしたい場合には、なるべく同時廃止で進めることが望ましいです。
また、どちらの手続きの場合にも、早めに必要書類を集めることや、弁護士、司法書士、裁判所や管財人の指示に従うことが大切です。
今回の記事を参考に、スムーズに自己破産の手続を進めましょう。